2026年 State of Software Delivery レポートの5つの重要ポイント
Director, Web and Content Strategy
シニア テクニカル コンテンツ マーケティング マネージャー
AIによって、コードを書くことはかつてないほど簡単になりました。しかし、それをリリースするとなると話は別です。
本日、私たちは Thoughtworks の協賛のもと、2026年 State of Software Delivery レポートを公開しました。このレポートでは、数千のエンジニアリングチームにわたる2,800万件を超えるCI/CDワークフローを分析しています。そこから浮かび上がった状況は明確です。チームはかつてないほど多くのコードを生み出している一方で、その成果を実際に顧客へ届くソフトウェアへと変えられているチームは減っているのです。
ここでは、特に重要な5つの調査結果をご紹介します。
1. 平均スループットは59%増加したが、その恩恵のほとんどは上位層に集中した
CircleCI上でビルドを実行しているすべてのプロジェクトを通じて、1日あたりのワークフロー実行回数の平均は前年比で59%増加しました。これは、私たちがこれまでに観測した中で群を抜いて大きいスループットの伸びです。AIを活用したコード生成やエージェント主導のワークフローが、チームがより多くの変更をより速く生み出すことに寄与しているのは明らかです。
しかし、その数字だけを見ると実態を見誤ります。
上位5%のチームはスループットをほぼ倍増させ、1日あたりのワークフロー実行回数を97%増やしました。一方、中央値のチームはどうでしょうか。わずか4%の増加にとどまり、下位4分の1のチームに至っては測定可能な増加はまったく見られませんでした。AIは既存のデリバリー能力を増幅するものであって、その力を均等に配分するものではありません。すでに強固なパイプラインと検証の仕組みを備えていたチームは、さらに先へと差を広げています。それ以外のチームは、現状維持のためにより一層必死に走り続けているのです。
2. チームはより速く書けるようになったが、より速くリリースはできていない
データの中で最も示唆に富む対比がここにあります。ほとんどのチームでは、AIがプロトタイピングや反復作業を支援するフィーチャーブランチ上でのアクティビティが明確に増加しました。しかし、コードが実際に本番環境へと昇格されるメインブランチ上のスループットは低下しました。中央値のチームでは、フィーチャーブランチのスループットが15%増加した一方で、メインブランチでは7%減少しています。
上位10%のチームでさえ苦戦しました。このグループではフィーチャーブランチのアクティビティが50%近く伸びた一方で、メインブランチのスループットはわずか1%の増加にとどまりました。
これは、私たちが昨年から指摘してきたAIのデリバリーにおけるボトルネックを裏づける具体的な証拠です。もはやコードを書くことは制約ではありません。レビュー、検証、インテグレーション、そして復旧。AIが生成したコードが滞留しているのはまさにこうした工程であり、それがあらゆるAI投資からベロシティ、士気、そしてROIを静かに奪い取っているのです。
3. AIが生成したコードは、より頻繁に壊れ、修正により時間がかかる
メインブランチの成功率は70.8%まで低下しました。これは5年以上ぶりの低水準であり、CircleCIが推奨するベンチマークである90%を大きく下回っています。つまり、本番環境へのマージの試みは、10回のうち3回近くが失敗しているということです。
復旧までの時間も延びています。一般的なチームがグリーンの状態に戻るまでにかかる時間は72分で、昨年から13%増加しました。
こうした数字は急速に積み重なっていきます。1日に5件の変更をプッシュするチームを想像してみてください。成功率が70%の場合、このチームは毎日1.5件の致命的な失敗に見舞われる計算になります。成功率が90%であれば2日に1件で済むところです。仮にこのチームが私たちのベンチマークである60分の復旧時間(2026年の中央値のチームより12分速い水準)を常に達成できたとしても、その差は年間でおよそ250時間もの追加のデバッグとデプロイのブロックによる損失として積み上がります。
これを1日500件の変更にまで拡大すると、グリーンの状態に戻すためだけにフルタイムエンジニア12人分に相当するリソースを浪費している計算になります。
4. AIのスピードでリリースする方法を見出したチームは、20チームに1つにも満たない
上位5%のチームは、ここまでに挙げたすべての傾向における例外です。これらのチームのスループットは前年比で97%増加しました。メインブランチのスループットが26%増加し、フィーチャーブランチのアクティビティは85%伸びています。より多くのコードを書き、さらにより多くのコードをリリースしているのです。
とはいえ、こうしたチームは20チームに1つにも満たない存在です。彼らの成果は、検証がコード生成のスピードに追いついたときに何が可能になるかを示しています。同時に、大多数のチームにとってその境地がいかに遠いかも物語っています。
5. 中規模企業は「混沌とした中間層」で立ち往生している
企業規模別のパフォーマンスは、U字型の曲線を描きます。最も小規模な企業(従業員2〜5人)と最大規模のエンタープライズ(従業員1,000人以上)が最も高いパフォーマンスを示し、メインブランチのスループットは最も高く、復旧時間も最も短くなっています。最も苦戦しているのは中規模企業(従業員21〜50人)です。あらゆるセグメントの中で最も低いスループットにとどまり、復旧時間は3時間近くに達しています。これは、最小規模と最大規模のグループのおよそ4倍の長さです。
このパターンは、スケーリングの問題を示唆しています。こうした企業は、小規模チームならではのスピードと簡潔さを卒業した一方で、大規模に運用するために必要な仕組みやプラクティスをまだ構築できていません。AIは、このギャップをより顕在化させ、よりコストの高いものにしています。
チームはこのギャップをどう埋められるのか
データが指し示す結論は明確です。AI時代の成功を決めるのは、コードをどれだけ速く書けるかではありません。それをどれだけ速く検証し、インテグレーションし、復旧できるかによって決まるのです。
先行しているチームは、より速いフィードバックループ、より賢いテスト選択、そして増大する量と複雑さに適応するパイプラインインフラに投資してきました。一方、遅れをとっているチームは、人間のスピードでの開発を前提に構築した従来の静的なパイプラインに、AIが生成したコードをそのまま流し込んでいます。
これこそが、自律的検証(autonomous validation)が解決するために設計された課題です。自律的検証は、静的なスクリプトや手作業でのメンテナンスに頼るのではなく、CI/CDパイプラインそのものにコンテキストとインテリジェンスを組み込みます。これにより、検証のレイヤーが、AI主導のコード生成のスピード、スケール、複雑さに歩調を合わせられるようになります。
これらのトレンドや、トップパフォーマンスのチームが何を違うやり方で実践しているのかについては、2026年 State of Software Delivery レポートで詳しく確認できます。
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本レポートは、2025年9月にCircleCI上で実行された28,738,317件のワークフローに基づいています。対象は、コントリビューターが2人以上のプロジェクトで、5回以上実行されたワークフローです。詳細な方法論は完全版レポートをご覧ください。